発端
Daylight Returnの制作素材が見当たらなくなった。
画像、MP3、WAV、MP4。制作に使っていた一式が、いつも置いているつもりの場所にない。
こういうとき、最初に頭へ浮かぶのはあまり楽しくない可能性だ。
消したか。
どこかの作業で巻き込んだか。
あるいは、何かの操作でなくなったか。
ただ、そこで「消えた」と決めるのは早い。
まず事実を取ることにした。
ログを見た。でも、答えは出なかった
最初に確認したのはWindowsのSecurity Auditログだった。
だめだろうなとあきらめつつ、念のためファイル削除を追う手掛かりとして、4660や4663のイベントを確認する。
ただ、今回の環境ではその記録が十分に取れていなかった。
対象期間のログも、Daylight Returnの素材制作時期全体をカバーしていない。
つまり、ここから言えることは限定的だった。
「削除された証拠が見つからない」ことと、「削除されていない」ことは同じではない。
ログだけでは、削除の有無を判定できなかった。
ここで一度、仮説を変えた。
「削除」から離れる
ファイルが見つからないと、つい削除を原因にしたくなる。
でも、実際には別の可能性もある。
違う場所へ移した。
保存先を勘違いした。
フォルダ名が少し違う。
想定していないディレクトリに作っていた。
制作中は、画像、動画、音源、書き出し先、生成物の保存先が増える。普段なら覚えているつもりでも、後から見ると「なぜここに?」という場所に置かれていることがある。
ログで断定できない以上、次にやるべきことは原因を決めることではなく、PC全体を安全に探すことだった。
ChatGPTは探さない。調査を組む
ここでChatGPT側の役割を変えた。
「たぶんこのフォルダです」と保存場所を推測するのではなく、CodexがWindows実機で実行する調査を設計する。
対象はPC全体。
検索語は Daylight Return と DaylightReturn。
フォルダ名だけでなく、関連する画像・音声・動画がまとまって存在する制作フォルダ候補も見る。
同時に、安全条件を先に固定した。
検索は読み取り専用。
削除しない。移動しない。名前を変えない。復元しない。上書きしない。
clean や reset のような、既存データへ影響する操作もしない。
この時点で欲しいのは修復ではなく、所在確認だった。
Codexが実機を探す
調査設計を渡し、実際のWindows PCを探すのはCodexに任せた。
ここが今回、一番面白かったところかもしれない。
ChatGPTはPCの中身を見ているわけではない。状況を整理し、何を疑い、何をしてはいけないかを決める。
Codexは、その条件の中で実機を横断して探す。
同じ「AI」という言葉でまとめると見えにくいが、やっている仕事はかなり違う。
判断と調査設計。
実機での探索。
役割を分けたことで、少なくとも「思いついた場所を一つずつ人間が開いて確認する」状態からは抜けられた。
あった
PC全体の検索結果から、Daylight Returnのフォルダが見つかった。
場所は、こちらが最初に想定していたところではなかった。
素材一式も残っていた。
削除されたのではなく、想定外の場所にフォルダを作っていた。
結果だけ見れば、単純な話である。
保存場所を間違えていた。より詳しく言えば、別の作業をやった場所で、そこにうっかりおいてしまった。
でも、その答えに行くまでに「消えたはず」という思い込みを外せたことの方が大きかった。
Securityログで証明できないことを無理に証明したことにせず、仮説を切り替えた。
そして、人間が手当たり次第に探す代わりに、実機を扱えるCodexへ安全条件付きで探索を渡した。
今回の役割分担
今回うまく機能したのは、Codexが賢かったから、だけではない。
ChatGPTに全部やらせたわけでもない。ChatGPTは、調査の順序を考えた。
ログで何が分かり、何が分からないかを分けた。
「削除」という仮説に固執せず、探索方針を変えた。そしてCodexへ渡す実行条件を、読み取り専用まで含めて決めた。
CodexはWindows実機を調べた。
PC全体を検索し、人間の想定外にあったフォルダを見つけた。
ChatGPT=判断・調査設計。Codex=Windows実機調査。
今回の使い方は、この分担がかなり明確だった。
コトの本質って
AIに「ファイルが消えた。探して」と言うだけなら、たぶん今回ほど意味はなかった。
重要だったのは、最初の仮説が外れたときに次の調べ方を組み直せたことと、実機へ触る工程に安全条件を付けたことだったと思う。
調査は、答えを早く決めるほど危ない。
ログが不十分なら、不十分なまま扱う。
削除と断定できなければ、別の仮説を置く。
実機探索が必要なら、変更禁止の条件を決めてから渡す。
今回はその流れの先で、素材が見つかった。
「AIでファイルを探した」というより、考える役と探す役を分けたら、調査そのものが前に進んだ。
Daylight Returnの素材は無事だった。
そして、Codexはコードを書く以外にも、こういう使い方ができるらしい。
これは、かなり勉強になった。


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